2008-02-15

至福の時--野原みどりリサイタル

「至福の時」とは、こういうモノなのか。
シューベルトのピアノソナタを聴いて感じた。
今までイメージしていたシューベルトとは全く違った音楽だった。

2008年2月14日(木)19:00~21:15
浜離宮朝日ホール
野原みどり シューベルト・ソナタの世界~ウォールナット・スタンウェイの音色で~
 ピアノソナタ 第13番
 ピアノソナタ 第14番
 ピアノソナタ 第21番
(アンコール)即興曲(番号は忘れた)2曲

軽やかな音からふくよかな音まで様々の音色で繰り返しの多いシューベルトの長い曲を紡いでいく。
豊かなひびきの中からクリアなリズムとメロディが優しく降り注いでくる。
決して主張する音でもなく押しつけるようなストレートな音でもない。
そしてそれらの音が余すところなく自然に私の体を通り抜けるような快感。
飽きることもなく、必要以上に高揚することもなく、自然と音楽に浸ることができる。
そんな時間を過ごさせてもらった。
これこそ「至福の時間」。野原みどりさんのリサイタル。

ステージ上のウォールナット・スタンウェイは背景にとけ込んで存在を主張しない。
ピアニストのみどりさんは指先からあるいは体全体で何かのメッセージをそのピアノに伝えようとしているように見える。どういう仕組みかよくわからないが楽器とホールの特徴と性能をみどりさんが最大限に引き出したのだろう。

終了後、ロビーで野原武伸さんとお会いした。しかし、この感動をどうやって伝えればよいかわからず、ただ「ありがとうございます。」のご挨拶だけに終わってしまった。

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