絶好調の業績をあげる(株)コマツは、6月24日に都内赤坂の本社近くのANAインターコンチネンタルホテル東京で、株主総会を開催した。
OB社員も多く参加している様子で、「ご無沙汰しています、」「お宅の息子さんは今どこの部署ですか?」、・・・、そこここでミニ同窓会のように挨拶を交わす様子が心温まる光景であった。こういう会社は良いなあ。
受付では早速記念品をくれた。ヤンキースの松井選手のサイン入りのあおだもの木を使ったボールペン。良いセンスだ。中学で野球をやっている甥っ子にあげたら喜ん でくれるかもしれない。そして、始まる前のステージでは、松井選手を登用したCMのメイキング映像が上映されている。ディレクターの要求に応えて何度も ポーズを取る松井選手の姿に好感を持った。
努力と誠実、松井選手の人柄とその実績をコマツにだぶらせる、良いイメージ戦略だ。
10:00定刻に株主総会は開始した。しかし、後ろの方の席では、まだ、多くの来場者が席に案内され、まだ着席していない。案内の声が響く。第二会場第三会場が用意されていると言うが、その中で、「定刻ですので、・・・」と野路社長は開会を宣言してしまった。強い違和感を感じた。
定足数の確認と監査報告に続いて、事業報告があった。過去最高の、しかも6期連続の増収増益だ。絶好調と言っても良いだろう。逆にピークはいつ来るのだろう と心配になる。中国、その他地域、欧州が牽引し、北米は落ち込んだと言うが、まだまだ需要は続くので、伸び率が下がることはあっても、まだ持続するのだろ う。
しかし、説明を聞いていると、これはどこの会社だろうと思う。世界を相手にビジネスをしているのだ。日本は単にその一つにすぎない。比較するのもキャ タピラーやVolvoだ。全て野路社長が説明したが、スライドを効果的に使ってわかりやすかった。
今期の業績予想についても、明確に説明した。決算短信と 同じ内容だったと思うが、原材料費の高騰などの影響で売上高営業利益率は若干下がるが、増収増益は、まだ続く。
株主からの最初の質問には驚いた。株主還元姿勢についての質問だ。配当を上げるのが難しければ、豊富なキャッシュを持っているのだから自社株買いをやれ、資金需要が生じたらデット・ファイナンスをやれ、その方がROE向上にも寄与する、と言う。コーポレートファイナンスの入門編を引っ張り出して勉強したのだろう。これでは単なる個人アクティビストだ。
キャッシュフロー計算書を見てもこれだけ資金需要の大きい企業だ。需要が増加し成長が続いている 時期にキャッシュをはき出したら機動的な事業運営ができなくなる。機会損失につながるのだ。それでなくでも原材料の高騰が予想される中で、事業継続に支障をきたす恐れも出てくる。 配当を減らしてでも、内部留保を高め、企業価値の向上を図ってくれ、と言うような議論はできないものか。
質問は最初のものを含めて8件程度だったか。経営の国際化への対応、ロシアリスクの回避策、キャタピラとの競合の状況、BRICs以外の新興国での市場シェ ア、ストックオプションの行使状況、CO2削減・環境への対応、無人の鉱山機械の普及度、など興味深い質問が多く、勉強になった。野路社長からの回答も、 あらかじめ準備したスライドを適切に使い、わかりやすく説明された。
無人の鉱山機械には驚い た。チリの銅鉱山では露天掘りの深さ700メートルの巨大な穴から、300t積みの何10台もの巨大無人ダンプトラックが、運び上げてくるそうだ。労働環 境が悪いので無人にせざるを得ないというが、GPSで自立的に制御して運転されているという。すでにオーストラリアのリオ・ティント等でも導入が決まって いるそうだ。
結局、12:00頃に終了。出席者が多いので、混乱のないように順番に退室を 案内される。懇親会があるという。聞いてみたいこともあるので寄ってみようかと思ったが、ロビーや他の宴会場にビュッフェが用意されているだけ、たくさん の人が群がって食べている。懇親会と言っても経営者と懇談できるのではないらしい。狭いところでひとりで食べる気もなかったので、そのまま帰ることにし た。単に、昼だから飯でも食っていって下さい、と言うような懇親会はいらない。
当面、hold、下押したらbuy。
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