2008-06-26

3402東レ、炭素繊維と環境が今後の原動力に。


東レ(株)は、2008年6月26日に東京国際フォーラム ホールCで株主総会を開催した。世界でトップシェアの炭素繊維複合材料の用途拡大と、世界第4位の水処理関連事業の拡大を原動力にして、ROA(総資産営業利益率)を8%、ROE11%を目標にすると説明した。株主からの質問の中でボーイング社の納入延期についてはすでに織り込んでいると答えた。

心配していた雨は降り出すこともなく、東京国際フォーラムに到着、東レの株主総会の案内と並んでホールAでのみずほFGの株主総会も案内していた。サブプライム損失など問題をいくつか抱えたみずほFGの株主総会はどんな風だろうと、その方向に向かう出席者らしい人たちを目で追いながら、時間の迫ったホールCに向かった。

10:00の開始時点で1階席は満席で、2階席に座ることになった。他の株主総会と異なるのは、壇上の席にパソコンが置いていないことだ。これまで見たところはどこも株主総会システムを活用していた。しかし、ここのテーブルの上は紙の資料だけだった。
事業報告は柳原社長が説明した。スライドを使って見やすさを工夫していたが、内容は、総会資料を読み上げるだけだ。いっそのこと全てスライドとナレーションで機械的に報告する方が聞きやすかったのではと思う。ここまででわずか30分だ。これだけたくさんの事業を行っているにしては、ずいぶん簡単にしたものだ。

株主からの質問は、まず、誰もが業績への影響を気にしているボーイング社の納入延期問題だ。柳原社長は、ボーイング社とのコミュニケーションは充分で、ある程度予算には織り込み済み、大きくぶれることはないと答えた。しかし、納入延期だけでなく、航空機需要の減退にまでつながらなければいいが、と心配は残る。

次の質問は、株主還元に関するもの。前日のコマツの株主総会での質問と全く同じ。たまたま同じ株主か、総会屋グループみたいな組織がアピールのためにやっているのか。
配当は同業他社と較べても少ないが、一時的に配当を増やすわけにはいかないだろうから、自社株買いをやって株主に還元しろ、その方がROE向上にも寄与する、資金需要にはデット・ファイナンスで対応しろ、というもの。
コーポレートファイナンスの入門編をなぞったような質問だ。東レの持つキャッシュは運転資金で何十日分にしかすぎないと財務担当役員は説明したが、せっかくキャッシュフロー計算書が掲載されているのだから、充分に分析してから発言したらどうだろうか。財務構造をどう強化していくか、経営者も明確に答えて欲しかった。

株主からの質問は全部で13件ぐらいだったか。配当金など株主還元に関わる質問も何件かあった。なかでもあきれたのは、コーヒーぐらい出したらどうか、懇親会で昼飯を食わせろ、毎年代わり映えのしない記念品ではなくもっと良いものをくれ、株主優待を導入しろ、というもの。経営者からいろんな話が聞ける充実した懇親会ならともかく、一部の個人の少数株主を優遇するような株主還元は、市場にとって迷惑な話だ。投資信託を買っているし年金も運用されている。小売業や消費財メーカーなどであれば少しは良いだろうが、いい加減にやめて欲しい。

あと、感じたこと。昨日コマツの株主総会で感じたことと逆だ。すでに東レは世界を相手にビジネスをしている。繊維だけでなくハイテク素材産業になっている。にもかかわらず比較したり参考にしたりするのは、国内の繊維産業の企業。なぜ、株主の質問や経営者の説明の中でデュポンや3M、Hexcel、・・・が競合として表れてこないのだろう。今後、アジアや中東を初めとして世界中を市場としてビジネスを行うことをさんざん説明し、それを収益源にしていくことが期待されている。何か、違和感を感じた。

その後、議案5件を採決して、あっさりと終了。なにか、あまり内容のない株主総会だった。

株価は下がっているが、当面、hold。

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