2008-03-25

3月に入って日本株を大量に買った。

サブプライム問題のおかげで株式相場が全体に安くなり欲しかった銘柄が買えるようになった。
インデックスファンドもタイミングを見て買っている。1月4日、1月16日、1月22日、3月17日と大きく下げた日に小遣いをつぎ込んだ。
そ れに加えて、個別株を順次買った。トヨタ、東レ、コマツのメジャーな銘柄に加え、底値に近いと思われ日経ヴェリタスでも紹介されたハニーズやネツレン、これからも好業績が期待 できそうなアルバック、ファンケルである。ファンケルは妻が商品を使っているので株主優待でも喜んでもらえそうだ。これまで保有しているイオンなども購入 単価を下げるために買い増そうかと考えている。また、投信では調子に乗ってMENAを少し買った。インド株投信も買おうかと思っている。もう我慢が出来な い状態だ。

もっとも、先行きに楽観的な見通しを持っているわけではない。
サブプライム問題の方向が見えたとしてもアメリカ経済の減速懸念やドル安の行方、商品相場の高騰、日本の企業収益の減速懸念など取り巻く環境の見通しは持っていない。しかし、 株価の水準から見て2~3年以上の長期の投資にとって適切な水準だろうという素人の勝手な思いこみである。そんな人が周囲にも何人かいる。

ところで、アメリカを発信源とするサブプライム問題は、金融商品として「リスクを拡散」するために作られた商品をその思惑どうり世界中にばらまかれたことが原因だが、それによって稼いだ連中がアメリカにいる。
住宅金融会社、不動産業者、住宅建設業者、保険会社、投資銀行、金融商品の販売者、金融商品の保険会社、格付け会社、もっといるかもしれない。SECやFBIが捜査に入っているようだ。

これは、いずれはこうなるとわかっていて意図的に作られた問題ではないだろうか。そして、最大の被害者はローンの借り手であるアメリカの低所得者層である。 移民を中心に数百万人を超える借り手が返済に窮して元本が増加したり、安い値段で手放し借金だけが残って生活に破綻を来したり、差し押さえにあって追い出 されて生活の場を失ったりしているという報道もあったような気がする。

サブプライムローンが出現したのは2001年ぐらいだったかと思う。グリーンスパン氏の演説を覚えているような気がする。所得の上昇と不動産価格の上昇をあてにしてステップ金利という数年後に借入金利が上がる設計の無理な住宅ローンを組んで家を買う。いつかの日本と同じようなものだと感じた記憶がある。住宅価格の上昇が頭打ちになったそのころに、不動産バブルを破裂させないように住宅市場をてこ入れするため、低所得者でも住宅を購入できるようにしようという狙いだったのだろう。

その思惑は見事にあたり、数年間は住宅価格は上昇を続けた。家を買うという夢を実現してやると言って、しかも不動産価格は上昇し続けるという幻想を押しつけ、リスク許容度の低い低所得者に無理矢理売りつけたのである。

しかし、購入者が一巡すると需要は頭打ちになるのは当たり前。一転、不動産価格は低下し始める。ローンの契約では数年後から金利が上昇し返済額が増える。返済が滞るとその分は元本に加算される。購入者の所得は増えているわけではない。手放しても価格が下がっているから借金は残る。そして破綻者が増え始めたの が2006年後半ぐらいから。ますます不動産価格が低下し、雪だるま式に破綻者が増えた。

サ ブプライムで稼いだ連中はこうなるかもしれないことをわかっていたのだと思う。リスクを集められるだけかき集めて「リスクを分散する」という美名をつけた 金融商品に仕立て上げ、さんざん稼いだあげくに、この仕組みが破綻する前に世界中に販売した。うまくいった、というところだろう。

リスク許容度の低い購入者を出汁にしたのだから犯罪行為と言っても良いのではないだろうか。日本の金商法で言う適合性の原則というものだ。
SECやFBIの捜査に期待するが、同じようなことを繰り返させないためにも、稼いだ利益をはき出させるぐらいの対応は出来ないのだろうか。また、グリーンスパン前FRB議長の責任もなかったか、誰か示して欲しい。

金 融商品を買った金融機関は儲かりそうだと思って買ったのだから自業自得だ。土地や企業に金をつぎ込んだあげくバブル崩壊で苦しんだ日本の金融機関と同じ だ。とはいっても、アメリカの金融システムの破綻は世界の金融市場に深刻な影響を与える。公的資金の導入などを始めているが時間をかけずに対応して欲し い。

そして、最も重要なことは、一律減税などを始めるようだが、今回ターゲットになった低所得 者層の救出と、増加していると言われている貧困層への所得の再分配など、アメリカの社会福祉政策の充実に期待する。自由競争を維持するための市場主義も結 構だが、その中に低所得者層を引きずり込んだのがサブプライム問題発生の要因のひとつだろう。

自由競争に加われないあるいは 競争に負けた人々は自由競争市場では救えない。弱者救済は社会の安定と持続的な経済成長には不可欠だ。市場主義の進化によって豊かな社会を作ったアメリカ だ。世界の安定と持続的な経済成長のために、今度は、世界に弱者救済のお手本を見せて欲しい。

これで、今回構築した自分の株式ポートフォリオに明るい見通しのひとつが灯る。

2008-03-14

世間には本人確認が出来ない人はたくさんいるだろうに、株券電子化に対応するための口座開設


最近、金融機関の口座を開設していなかったので良く認識していなかったが、「本人確認法」によって金融機関の窓口では大変煩雑なものになっているようである。
本人確認法は、①テロ資金防止、②マネー・ロンダリング防止、③捜査機関による資金トレースを可能にすること、が目的であると認識していた(間違っているかもしれない)が、法律の施行によって目的を超えた形式的な手続きが数多く定義された結果だろう。

私が保佐人(代理権付)になっている父親のタンス株を証券会社の特定口座に入庫することを目的に父名義の口座を開設しようとした。
まず、口座を開設できる支店の問題
父 親の住所は兵庫県西宮市(実際に居住しているのは宝塚市の認知症老人施設、住所の家は現在空き家、これがあとになって最大の問題になるとは思っても見な かった)、私の住所は神奈川県。兵庫県西宮市に居住する人の口座は該当する西宮支店でなければ、開設できない、と言ってきた。理由は、本人の存在を容易に 確認できないから、と言う。
これに対しては、①信託銀行など他の金融機関では受け入れられていること、②代理して管理を行うため保佐人が使いやすい支店が良い、③同じ支店に管理人個人の口座を持っている(だからこの店を選んだ)ので、担当者も管理しやすいだろう、ということで認めてもらった。

次に数多い書類の作成と本人確認書類
・口座開設申込書
  これまでに経験した口座開設申込書と同じであるが、氏名欄全てに「被保佐人XXXX、保佐人XXXX」と2名分の記入とフリガナを求められた。狭い欄に記 入するのは結構大変。代理人ではオンライン取引やカードは申し込めない。銀行ではカードがそのまま使えるか新たに管理人用のカードが発行されたのに。別に 困らないのでそれでよいが。
・証券取引に関するアンケート
 本人に関する証券投資の経験や口座開設の目的を聞くもので、「今回のケースで は不要あるいは無意味だろう、むしろ保佐人の管理方針(家庭裁判所に報告している)を確認する方が重要ではないか」と言ったが、金商法により義務づけられ ていること、形式的なものなので対応してほしいと言うことで記入した。
・本人確認書類として老人保健法医療受給者証
 公的機関が発行するもののひとつとして国民健康保険証が適切という指摘があったが、同様のものであることを確認してOK。
ここまでが本人に関する書類。
 保佐人に関するものとしては、
・(成年後見)登記事項証明書
 これまでどこの金融機関でも必要になったもの。原本の提出を求められるケースが多かったが、コピーで代用された。
 金融機関の窓口で何か手続きをしようとすると提示を求められるケースが多いので、いつも持ち歩いている。
・代理人登録
 口座管理を代理人を定義し、以降の郵送物などを代理人宛に送付するようにするための手続き。
 この手続きは某信託銀行でも同じ手続きがあった。反対に郵便物を代理人に郵送するよう求めても手続きをしてもらえない(郵便の転送で対応しろと言うこと)金融機関の方が多い。
・代理人の本人確認書類
 どんな意味があるのかわからないが複数の書類を求められたため、運転免許証と健康保険証を提示した。

ここまでで既に1時間が経過。
特殊なケースであるようで、ひとつひとつ本部などと確認しながらすすめるので、待ち時間が多い。
しかし、まだ、平和な時間が経過しているので相場の話などをしながら過ごした。

次に、株券の入庫、
これは株券の現物を渡すだけで手続きが進む。取得価格をどうするかと言う問題に関しては、みなし取得価格より券面の裏書きの日付の価格のほうが高かったので、裏書きの日付を採用。現在値より高い価格なので見かけ上評価損を出している状況。一緒に喜んでおしまい。

そして、最後に口座開設の確認と株券入庫の証(預かり証)の発行を求めた。
ところが、事務所に入ったままなかなか担当者が出てこない。
しばらくして窓口に戻った担当者は、
「口座開設の確認の書面を郵送するのだが、配達証明付きで父の住所に送付することになるので、受取人がいないといけない。転送不要で送るので受け取られな いと戻ってくることになるため、本人確認が完全に終わらないことになり、口座開設が完了しない。せっかく全ての書類に記入していただいたのに、どうしま しょう。」という。
父の住所は空き家であることははじめに充分説明したつもりであったが、担当者が本部との確認の中で気が付いたようである。
口座開設者の住所が空き家であるケースや代理人が口座を開設するケースなど同様の事例は多くあるはず、本人確認の目的から、今回のケースで在宅であること まで確認する必要があるか、などいくつかの疑問がでた。反対に口座開設できなければ株券の電子化ができなくなるわけで財産権の侵害につながらないか。

結局、形式的な手続きを押しつける本部の了解は得られなかったようで、「株券の入庫だけで、原則としてこの口座での売買は行わない」「新たな入庫や相続時 の取引には応じる」など、証券口座としては利用しないことを条件に口座開設できるよう支店側で対応すると言うことになって落着。

ここまでで1時間、合計2時間かかったことになる。私は時間があったので良いが、担当者にとっては金にならない(単に口座を作って株券を入庫しただけで、 今後の取引も期待できない)顧客に対し、無駄な時間を使ったようなもの。窓口の対面での手続きの時間ではなく、本部との間での確認作業にほとんどの時間が 使われた。あまりないケースであるとはいえ、形式的な手続きが多すぎるのだろう。

法令遵守は必要なことであるが、法令の目的を理解せずに形式的な事務を設計し、それを遵守することがコンプライアンスだと言うようなケースが最近増えてい るような気がする。良く聞かれる「コンプライアンス上の問題で対応できません」や「コンプライアンス上要求されているのでお願いします」などの言葉。

金商法施行の影響で地銀などで投資信託の販売が大幅に減少したという。手続きが増えたためというが適合性の原則などを理解していれば手続きに振り回される ことはないだろう。現に、大手証券などでは販売額はあまり減っていなかったという。特に金商法はプリンシパルを示しているだけで事例は示されておらず、実 態に即して判断されるわけだから、プリンシパル(立法が求める原則)を理解できない人には難しすぎ判断ができないことになる。もっとも、地銀の場合は、 売ってはいけない人が必要のない人に売ろうとしているわけだからそれで良いのだが。